キープ・イン・タッチ(連絡を取り合う)
5回仕事先を変えてますが、その中の1つの話。
私は当時内勤の仕事をしていて、多くのスタッフに囲まれていました。
あるOLがいました。その人のことが少し好きでした。告白はしませんでしたが、仕事の話から趣味の話とか、私生活の話をすると痛快ウキウキでした。
彼女は私より12くらい年上で、当時40は過ぎていました。
とても綺麗な容姿で、引く手あまたな様子でした、実際はどうだったか知りません。
そんな彼女でしたが、よく「死が近づいてくる」とおっしゃってました。(老いというものを意識している様子でした。とても綺麗でしたが。)
飲み会の時はほぼ確実におっしゃってましたし、仕事中でコピー機の使用がカブっちゃった時もおっしゃってました。
メメントモリという言葉があります。絵画、特に宗教画にある「死」を想起させる表現です。ドクロとか。
そのOLからも勝手にそれを感じてました。少し好きだったので、芸術として感じてたのかもしれません。
私にしては長いことその会社には在籍し、紆余曲折あり別の人を好きになりました。
その人が会社を辞めることになって、最終出勤日、私は給湯室で彼女に連絡先を渡しました。彼女には彼氏がいましたが、もしもの奇跡を祈ってとりあえず渡しました。キープ・イン・タッチ。
今度は私が辞めることになりました。
メメントモリの彼女とは普通の関係でした。
でも、「死が近づいてくる」と言われると、少し好きでした。
会社の飲み会の時は、私はみんなから「ヘンタイ」扱いされていて、それで若干盛り上がる感じでした。メメントはそれを静かに笑ってました。
会社を辞める当日、メメとコピー機の使用がカブりました。
「今度はヘンタイ飲み会じゃない飲み会しましょうね」と言われました。
これはマン・ツー?という考えが出ました。浮かれました。
連絡先を渡し忘れました。
ノー・キープ・イン・タッチ。